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「SDS法」とは、下記の言葉の頭文字からつけられた名称である。
「Summary:概要、要点」
「Datails:詳細、プロセス、ストーリー」
「Summary:概要、まとめ」
「SDS法」は、ビジネスシーンのみならず、日常のさまざまな場面でよく使われる文章の「型」である。
最初に概要(話のテーマ)を述べ、具体的な内容を説明し、最後にもう一度概要をまとめとして繰り返す。テレビのニュースではこのSDS法が使われているため、それをイメージすると理解しやすいだろう。
使い勝手がよく、短時間で要点を伝えることもできる。それでいて言葉選びにさまざまなニュアンスを持たせることもできる。結論が最初に来るタイプの文章では、ほぼ「万能」に近い。
最初と最後に二度同じことを繰り返すという構成はPREP法と同じだが、SDS法の場合は「Datails(概要)」の部分に何が入っていても問題ない。PREP法のように「結論、理由、事例」と明確に定まっているわけではないため、語られるテーマはビジネス関連の話題だろうと映画の感想だろうと何でも構わない。
SDS法、PREP法、DESC法という3種類の文章の型はよくともに紹介されるが、最も身につけやすいのはSDS法である。
また、他の2種類との共通点も多いため、最初にこの型を理解しておくとそれ以外もスムーズに身につくだろう。
まずはSDS法を学び、それから自分のコピーライティングに加えたい方向性を考え、より論理的な説明力を高めたいのであればPREP法、穏やかな問題解決型であればDESC法、というながれで学ぶことをおすすめする。
SDS法は、PREP法やDESC法と一緒に紹介されることが多い文章の「型」である。どれも効果的だが、使われる場面やメリット、構成要素などが異なる。
SDS法:「結論が最初」の文章では万能に近い。概要・詳細・概要で構成される。
PREP法:論理的な説明力が高く、主張・結論重視。結論・理由・事例・結論で構成される。
DESC法:双方にとって円満な問題解決を目指す。描写・説明・提案・結論で構成される。
SDS法は、最初と最後に「話のテーマ」を繰り返すという構成で、その点はPREP法と似ている。だが、PREP法が伝えようとしている内容が「自分の主張」であるのに対し、SDS法はどういったテーマでも構わない。そのため、ビジネスシーンだけでなく日常生活でも使うことができる。
また、3部構成で、そのうち最初と最後の2部は似た内容であるため、文章を書くことに苦手意識のある人でも始めやすい。そういう意味でも、最初に身につけることをおすすめできる文章の型である。
それ以外の、PREP法、DESC法についても概要を紹介しよう。
PREP法は基本的に、相手がこちらの主張(結論)を理解するために理由や事例を述べるという、きわめてシンプルな構成である。構成の中に「主観的な感情」を含まない。「双方のコミュニケーション」ではなく、こちらの「主張」のための型であるため、基本的には一方だけが発言するタイプのプレゼンテーションや提案書に用いる。
DESC法は構成が起承転結に似ており、客観的事実・主観的な感情・提案(主張)・結論という順番に述べる。話の「主張」を「提案」という言葉で表現している通り、お互いにとって穏やかな解決を目指す。
SDS法は、概要・詳細・概要で構成される。各構成の中に入れる内容は問われないため、さまざまな場所で使うことができる。最もよく見かけるのはテレビのニュースだが、別にかしこまった内容やビジネスシーンに限定される必要はまったくない。
それでは、実際にSDS法の例文を見てみよう。「日曜日に観た映画についての感想を、友人に話すシーン」である。
こういったプライベートな感想にもよく使われるため、個人ブログの文章で練習する際にもおすすめだ。
S「日曜日に、久しぶりに映画館で映画を観ました」(概要)
D「とてもよかったです!好きな小説の映画化だったので、前々から楽しみにしていました。映画化は賛否両論ありますが、この作品はうまくまとまっています。小説をリスペクトしている監督や俳優が熱意を持って作ったことが伝わります。ぜひ観てみてほしいです」(詳細)
S「映画はやはりいいですね。これからはもっと観ようと思います」(概要、まとめ)
コピーライティングのニュアンスも、堅いものから柔らかいものまで表現できる。また、作るヒントもあらゆるところから学ぶことができる。「どういった場面で使われるキャッチコピーを作れるようになりたいのか」に合わせ、まずはその場面で使われる例文を集めてみてほしい。
このように、最初に結論から話し、短めの文章を作るのであれば、SDS法はたいへん使い勝手がよい。
基本的にはあまりないだろう。なぜなら文章のニュアンスに関係しないため、相性が合わない言葉やキャッチコピーもあまりないからだ。「最初に結論」という場面において、まとまった情報を簡潔に伝える文章の型に最適である。
キャッチコピーではないが、あまりおすすめできないのは長文のライティングである。3部構成とは言っても最初と最後は内容が似通っており、これだけで長文を構成するのは難しい。
また、物語のように「起承転結」によって内容が活きてくる話にも、SDS法は不向きである。冒頭の概要でいきなりオチを暴露することになるためだ。
それでは実際に、SDS法で文章構成をしてみよう。SDS法は「概要(話のテーマ)」と「詳細」のたった2つだけでできているということを覚えておけば、意外とスムーズにできるだろう。
最初に「概要」から述べる。「話のテーマ」と捉えるとイメージをつかみやすいだろう。会話や文章、ニュースなどを通し、これから伝えようとしているテーマについてまず相手に述べる。
重要なのは「概要に情報を入れすぎない」ことである。あくまでもテーマや要点のみに絞り、具体的な細部やながれについては次の「詳細」で展開する。
もしも「結局テーマはどれ?」「長すぎてわかりにくい」と言われることが多い人は、「詳細」に入れるべきことをここで述べすぎていないか、ぜひチェックしてみてほしい。
それらを切り離すだけで、わかりやすさも伝わりやすさもぐんとよくなるはずである。
概要ではテーマだけを挙げ、この「詳細」で具体的な内容について話し始める。日時や地名といった事実のほかに、プロセスやストーリー、または感想といった主観的な内容でもよい。
書くにあたって一つだけ注意しておくのは、「PREP法」「DESC法」に比べて自由度が高い分、「詳細」の中身の構成を自分で行う必要性があるという点である。「詳細」をどのように構成すべきか、文章の型としての決まりはない。
そのため、いざ学び始めるというときは、まず自分が書きたいと思っているコピーライティングやwebライティングの文章を集めることをおすすめする。広告系のキャッチコピーなのかニュース形式なのか、それとも作品の感想なのかにより、入れるべき内容や順番が異なるのがわかるだろう。
SDS法はインターネット上に例文が多く、学びやすいところもメリットである。
基本的には冒頭の「概要」をもう一度伝える段落だが、ただの繰り返しではなく、「詳細」を経てどう変わったのかという「結果」を入れることがポイントである。「記事のまとめを作る」ことを意識するとうまくいくだろう。
情報を短くまとめて報告するタイプのプレゼンテーションや報告書であれば、そういった内容を入れる必要はない。改めて「話のテーマ」を相手に念押しすれば十分である。
だが、コピーライティングやwebライティングであれば、最後のまとめに「変化」を入れるようにするべきである。
「詳細」を経てどう変わったのか(あるいはどう変われるのか)について、必ず考える習慣をつけよう。改めてよく読むと、大半の記事は「おわりに」で「変化」について触れている。
SDS法は、最も伝えたい「概要」を選び出すことから始めると全体を構成しやすいだろう。そうすることで「詳細」に入れる情報がブレず、的確な内容を選べるためである。
次に「詳細」の構成をする。あまり難しく考えず、まずは作ろうとしている文章のジャンルに似た例文をインターネット上から探し出そう。報告書なのか提案書なのか、それとも作品の感想なのか旅行のエッセイなのかにより、入れる情報や順番が異なる。
最初のうちは人気のある記事をテンプレートにし、忠実に当てはめていくと効率よく作れるだろう。
ビジネスシーンに限らず、日常生活でも数多く使われるSDS法。「結論が最初」の型で短文にまとめる場合は、SDS法一つでも幅広く対応できるだろう。
短い文章が作りやすいため、「初めて文章を書き始める」という人に特におすすめである。また、ビジネスシーンでは短時間で報告をまとめる業務も多いため、不可欠の文章の型だ。
PREP法やDESC法との共通点も多いため、SDS法をベースにし、そこからブラッシュアップするというながれが効率的である。
また、SDS法の締めである終わりの「概要」は、コピーライティングやwebライティングにとって必須である「経過と変化」を考えるトレーニングにも向いている。「おわりに」を作るのがあまり得意ではないという人は、ぜひSDS法で練習してみてほしい。