「コピーライターの技術を学びたい」
「文章のメカニズムを学んで人を動かしたい」
「コピーライティングで稼ぎたい」
そう考えてはいないだろうか。
コピーライターに商品の紹介は欠かせない。
あなたが将来アフィリエイトサイトを立ち上げて、「おすすめ商品○○選!」などの数ある商品から何点か紹介することもあるだろう。
その際にマジカルナンバー7±2を意識して商品を5~9個に絞って紹介することで、商品の成約率が上がる。
つまり商品が売れやすくなるのだ。
ここでは商品の成約率が上がるマジカルナンバー7±2について詳しく紹介する。
この記事を読めば、なぜ商品を5~9個に絞って紹介すると成約率が上がるのかが理解できるだろう。
Contents
マジカルナンバー7±2とは
マジカルナンバー7±2とは、アメリカのハーバード大学の心理学者であるジョージ・ミラー(George Armitage Miller)教授が1956年に世に送り出した論文の中で登場する「人が瞬間的に記憶できる情報の数」のことである。
ここでミラー教授について少し紹介しよう。
ハーバード大学で心理学を専攻し、1946年に学位を取得した心理学者である。
学位を取得してからは同大学にて助手と助教授を務め、マサチューセッツ工科大学准教授となる。
1962年に発行された著書「心理学の認識」の作者であり、高い評価を得たミラー教授はアメリカの心理学会から賞を受け、心理学会の会長も歴任した。
ミラー教授は短期記憶、つまり人が瞬間的に記憶できる情報の数は「7±2」個であることを発見し、認知心理学研究の先駆けのひとつとなったのだ。
7±2個は言い換えると5~9個ということになるが、これは個人差などで±2個の変動があるということだ。
ミラー教授は単に数字を並べただけでも記憶することができる数は5~9個と説いているが、チャンクと呼ばれるかたまりを作ることで、記憶できる情報の量が多くなるとも説いている。
では、なぜチャンク化すると記憶できる情報の量が多くなるのか。
ミラー教授の論文の中では、無線通信の一つであるモールス信号を例として説明されている。
ご存じのとおりモールス信号とは長い符号(長符)と短い符号(短符)で成り立ち、符号の組み合わせで文字や数字をあらわす。
長符と短符のモールス信号を音で表現すると「ツートン」となり、記号で表現すると「-・」となる。
では記号「・・・---・・・」(音では「トトトツーツーツートトト」)は何を意味するだろうか。
答えは「SOS」である。
もうおわかりだろうが「・・・」はアルファベットのSを意味しており、「---」はOを意味しているのだ。
ツーとトンの組み合わせからなるこのモールス信号は、初心者が聞くと単なるバラバラの音にしか聞こえないが、訓練することで最終的に単語というチャンクで認識できるのだ。
マジカルナンバーの使用例
先ほど紹介したモールス信号は私たちの生活の中であまり身近に存在しないが、マジカルナンバー7±2は存在している。
それは郵便番号や電話番号などである。
郵便番号や電話番号と聞いてもすぐにはピンとこないと思うので、もう少し詳しく説明しよう。
京都に金閣寺があるのはあなたもご存じの通り、その住所は京都府京都市北区金閣寺町である。
金閣寺の郵便番号は6038361と7桁の数字なのだが、途中で区切った郵便番号603-8361とくらべるといかがだろうか。
後者の7桁の数字の間をハイフン(-)で区切るだけで、前者の数字よりも記憶することが簡単ではないだろうか。
7桁の郵便番号を3桁と4桁で区切ってチャンク化することで数字を記憶が簡単、つまりその分多くの数字を記憶することができるのだ。
マジカルナンバーをコピーライティングに活かす
ここまでマジカルナンバー7±2は「人が瞬間的に記憶できる情報の数」、チャンク化は「人が瞬間的に記憶できる情報の数を増やす」と説明してきた。
では、これらを実際にどのようにコピーライティングやセールスライティングに活かすのか。
その方法について、これから説明しよう。
ジャムの実験
コロンビア大学の教授、シーナ・アイエンガー(Sheena Iyengar)博士が行った「ジャムの実験」がとても有名なので、その実験について紹介する。
アイエンガー教授がスタンフォード大学の大学院生だったころ、あるとても高級な食料品店によく通っていた。
その店には20種類以上のミネラルウォーターや500種類以上の野菜や果物、樹齢千年のオリーブの木から採れたオリーブオイルも含め75種類以上あり、品ぞろえがとても豊富だった。
アイエンガー教授はこの店に行くのが大好きだったが、自分が商品を何も買わないことに疑問を抱いた。
そこである日店長と話をすることにしたアイエンガー教授。
2人はジャムを使ってちょっとした実験を行ったのだ。
当時店で販売していたジャムは348種類。
それでは多すぎるので、店の入り口付近に小さな試食ブースを設置して、24種類または6種類の様々な味のジャムを出したのである。
2人がジャムを試食する人を観察していると、24種類の場合は60%の人が試食をしていたのに対し、6種類の場合は40%の人が試食をしていることが判明した。
そして、どちらのジャムが多く売れるか観察していると、24種類の場合の試食した人の購入率は3%となり、6種類の場合は試食した人のうち30%がジャムを購入したことがわかったのだ。
これを計算すると、6種類の場合の方が24種類の場合と比べて6倍以上もジャムが売れたことになる。
アイエンガー教授はこのジャムの実験から、人は選択肢が多すぎると選択することを放棄してしまうと説いているのである。
あなたが選べないものは消費者も選ぶことができないのだ。
そこで冒頭で述べたマジカルナンバー7±2と、ジャムの実験の結果から数ある商品を紹介するときは「おすすめ商品7選!」など、商品を5~9個に絞って紹介するのがよいのである。
たとえばあなたが温泉をおすすめする場合は、次のとおりに紹介すればよい。
「わたしがおすすめする温泉9選」
1.草津温泉
2.白浜温泉
3.熱海温泉
4.別府温泉
5.那須温泉
6.伊東温泉
7.鬼怒川温泉
8.下呂温泉
9.箱根湯元温泉
では、商品を9個まで絞れない場合はどうすればよいだろうか。
その場合は商品を分類すればよいのである。
おすすめする商品が多いときは分類する
商品の選択肢を増やすよりも分類してカテゴリを増やすほうが消費者は選びやすくなるのだ。
では、なぜ商品の選択肢よりもカテゴリを増やすと消費者は選びやすくなるのだろうか。
その根拠となる実験をアイエンガー教授が行っており、消費者は400種類もの雑誌を20個のカテゴリに分けたほうが、600種類の雑誌を10個のカテゴリに分けるよりも選択肢が多くて買い物がしやすいとの実験結果となっている。
つまり、種類を増やすよりもカテゴリを増やして選択肢を多くすると、区別がしやすくなり商品の購入につながるわけだ。
たとえばあなたがおすすめしたい温泉が9か所に絞れず12か所になってしまった場合は、次のとおりに紹介すればよい。
「わたしがおすすめする温泉12選」
北海道
1.函館温泉
2.洞爺湖温泉
栃木県
3.鬼怒川温泉
4.那須温泉
群馬県
5.草津温泉
神奈川県
6.箱根湯元温泉
静岡県
7.熱海温泉
8.伊東温泉
9.伊豆高原温泉
岐阜県
10.下呂温泉
和歌山県
11.白浜温泉
大分県
12.別府温泉
マジカルナンバーは4±1も存在する
ミラー教授がマジカルナンバー7±2を発表してから45年後の2001年にアメリカのミズーリ大学の心理学者ネルソン・コーワン(Nelson Cowan)博士がマジカルナンバー4±1を提唱したのだ。
このマジカルナンバー4±2はプレゼンテーションなどでよく使われており、「大事なことはつぎの3つです」などはよく耳にする言葉ではないだろうか。
ここでは古くから認知されているマジカルナンバー7±2と、新しく提唱された4±2のどちらが優れているかは言及しないが、マジカルナンバー4±2を知っていて損はないだろう。
まとめ
以上のことからマジカルナンバー7±2はコピーライティングやセールスライティングに活用できることがおわかりいただけただろう。
この記事ではマジカルナンバー7±2は人が瞬時に記憶できる数が5~9個であることや、マジカルナンバーをコピーライティングやセールスライティングにどのように活かすかを、根拠を交えて解説した。
たとえ紹介する商品の数が5~9個に絞れなくても、チャンク化してカテゴリ分けするなどすれば、紹介文を読んでいる間に消費者が何の商品をおすすめされているのかわからないといった事態を少なくできるだろう。
最後まで記事を読んだあなたにはマジカルナンバー7±2を活用して、コピーライターとして活躍していただきたい。