「セールスライティング・ハンドブック」の謎をひとつ発見しました。
本文の中にキーワードであるはずの「セールスライティング」という言葉がまったく出てこないのです。
出てくるのは、本のタイトルと目次、奥付だけです。
本書の初版のまえがきにこんな記述があります。
「コピーライターは人に製品を買わせることを生業とする営業なのだ」
(引用:セールスライティング・ハンドブック)
筆者であるロバート・W・ブライ氏は、「コピーライティングはモノを買わせることだ」と断言していますね。
「コピーライティング」と「セールスライティング」には、次のような違いがあります。
・コピーライティング
(企業やブランド、商品の)イメージアップや認知度の向上が目的のコピー
・セールスライティング
ターゲットが行動(例えば購入など)を促すことを目的としたコピー
つまり、コピーライティングがイメージコピーであるのに対して、セールスライティングは「売ることを目的」としたコピーということになります。
ロバート・W・ブライ氏は、「第1章 コピーライティングとは」の中で「広告の目標は気に入られることでも、人を楽しませることでも、賞をとることでもない。商品を売ることなのだ」と述べています。
(引用:セールスライティング・ハンドブック)
本書のタイトルにある「セールスライティング」とは、モノやサービスを販売するための「文章術」のことです。
そして、驚くことに本書では「文章術」にとどまらず、販売戦術の視点からメディアごとに具体的なテクニックをまとめています。
- 第1章から第5章までは、売れるためのコピーの作り方です。
- 第6章以降はダイレクトメールやカタログ、プレスリリースなどメディア別によるコピーのノウハウを述べ、さらにメルマガやウェブサイト、ランディングページ、オンライン広告の文章やコピーを作る方法を解説しています。
そのため、本書は以下のような方々におすすめです。
・文章で商品やサービスを売っている人(あるいはこれから売ろうとしている人)
・特にインターネット上で
ブログ運営をされている人
アフィリエイトをされている人
Webサイトなどの運営をされている人
・Webライター
さて、本書の主役である「売れるためのコピー」を見ていきましょう。
Contents
【秘伝】売れるコピーを書く方法
売れるコピーを書くために、本書では次のような説明がされています。
売れるコピーを書くための第1ステップは、特長ではなくベネフィットを書くことだ。
製品を販売する営業が、ターゲットはベネフィットのことは「承知だ」と思い込んでしまい特長だけを説明するため販売につながらない。
営業トークもセールスライティングも同じことでターゲットのベネフィットを伝える必要がある。ターゲットにとってのベネフィットとは、ターゲットがその製品を買う理由である。
(引用:セールスライティング・ハンドブック)/
そして、以下のように「売れるコピーを書く5つのステップ」を披露しています。
売れるコピーを書く5つのステップ
・注意を引く
ヘッドラインでは読者に提供できる最大のベネフィットを1つだけ取り上げること
・必然性を提示する
なぜその製品が必要なのかを読者に示すこと
・ニーズを満たす問題の解決策として製品を提示する
ニーズを自覚させたら、この製品でニーズが満たされること 問題に答えらえられることを示す
・広告で謳った効果があることを証明する
ニーズを満たすことの証明 例えば お役様の声や実証実験など
・行動を起こさせる
郵送、オンライン、店頭、連絡先 → 購入させるための誘因
(引用:セールスライティング・ハンドブック)
どうですか。
ターゲットにとっての製品のベネフィットを明確にして、その必要性をターゲットが納得するように伝えることが、製品を売る基本だとわかりますね。
本書は、この考え方のもとに書かれています。
セールスライティングのテクニックの【おいしいところだけ】を伝授!
モノやサービスを売る人たちは、それぞれの人が扱うメディアによって、知りたいと思うテクニックが異なります。
ここでは、著者であるロバート・W・ブライ氏の最も長い経験であろう思われるダイレクトメールとインターネット関連のEメール、ランディングページの3つのメディアを選びました。
それぞれの重要ポイントを抜粋版で見ていきましょう。
(1)ダイレクトメールをゴミ箱に捨てさせないリード文の作り方
本書ではダイレクトメール(セールスメール)をゴミ箱に直行させないために、読者が興味を引き、読み進めるようなリード文(書き出し文)を14通り紹介しています。
そのうちの比較的取り組みやすい3つを抜粋しました。
・無料資料をアピールする
「資料請求は無料」という点を強調して、商品より資料のベネフィットについて売りこむことで反応率が良くなる。
・ニュースを発表する
新商品や、特別イベントなどと何か発表できることがあれば、その重要なニュースを冒頭に持ってくる
・社長からの個人的なメッセージ
顧客というのは責任者に相手してもらえるのが好きなのだ。
(引用:セールスライティング・ハンドブック)
筆者のセールスライティングが、ダイレクトメールからスタートしていることが感じられます。
ダイレクトメールもEメールもゴミ箱に直行させないようにすることがまず重要ですから。
(2)Eメール(宣伝メール)を開封させてウェブサイトに誘導するヒント
次は、Eメールの話です。
Eメール(宣伝メール)を開封してもらい、ウェブサイトへのリンクをクリックしてもらうための15のヒントを紹介しています。
ここでは、そのうちの3つヒントを抜粋しています。
・件名をDMのティーザーコピーのように短くて注意を引いて好奇心を刺激するものにする。
・自社メールリストにメールを配信するなら、差出人に社名を明示すること。
・第1段落でメッセージ全体を簡潔にまとめて提示する。
(引用:セールスライティング・ハンドブック)
Eメール(宣伝メール)もダイレクトメールも開封してもらうことが重要です。
ここでは、もう一歩先のウェブサイトまで誘導することまで考えたプランになっています。
(3)ランディングページのコンバージョン率を上げる方法
最後にランディングページについてです。
読者がランディングページに来てもらって、購入や申し込み、資料請求といったコンバージョン率を上げるために、本書では10の方法をヒントとして挙げています。
そのうちの代表的な3つをご紹介します。
・早い段階で信頼を勝ち取る
訪問者が最初に目にする面で「信頼を醸し出すもの」をかならず一つは提示する
・購入しない訪問者のEメールアドレスも取得する
Eメールアドレスを登録すれば、レポートなどを無料で贈呈する
・「お客様の声」を何件も掲載する
実際の製品ユーザーの感想には、訪問者の懸念を拭い去り、信頼を勝ち取る力がある
(引用:セールスライティング・ハンドブック)
「ランディングページに来た読者をただでは返さない」という工夫がちりばめられています。
ヒントをいくつか組み合わせることで、相乗効果が期待できます。
最後に
ターゲットに商品を買いたいと思わせるためには、やはり「商品」と「ターゲット」のことをちゃんと知ることが最も重要です。
そして、その後ターゲットを「買わせるという行動」に導くことも忘れてはいけません。
それが、筆者ロバート・W・ブライ氏が本書で伝えたかったことです。
そのセオリーは、インターネットやデジタル化によってメディアが進化している今の時代でも変わりません。そしてこれからも。
最後になりましたが、本書に出てくる対象のメディアと紹介させていただきます。
- ダイレクトメール
- パンフレット、カタログ
- プレスリリース
- テレビとラジオのCM
- ウェブサイト用のコピー
- ランディングページ
- Eメールマーケティング
- オンライン広告
- ソーシャルメディア用のコピー
- 動画を作成
- コンテンツマーケティング
どのメディアにも具体的なコピー例で説明されています。
扱われているメディアだけなく、別のメディアの事例もご覧ください。
メディアが違っても置き換えて活用できる事例もたくさんあります。
本書はモノやサービスを売るすべての人のためのバイブルですから。