現代を生きる我々にとって、文章術はとても重要なスキルのひとつである。
しかし、学生時代は国語が苦手だったし、日常でも文章を書く機会はないし、自分には文章術なんて無縁と思っている人も多いのではないのだろうか。
仕事でもプライベートでも電話をする機会はめっきり減って、業務連絡から雑談に至るまでLINEなどのチャットを使うことが増えてきた。SNSやブログで発信する手段も主に文章であるため、文章術を学ぶことは現代社会を生きる上で大きな武器となるのだ。
そこで今回、人もお金も動かす超スゴイ!文章術を実際に読んでみた。
次の内容で要約したので、最後まで読んでいただきたい。
- 超スゴイ!文章術はどんな本?
- 超スゴイ!文章術の著者の紹介
- 超スゴイ!文章術のテクニック
- まとめ
本書で書かれている文章術とは、国語の授業で習うような正しい日本語の使い方や、小説家のような文章の扱い方ではない。個人がチャットなどのコミュニケーションツールやSNS、ビジネスにで一般的に扱うような文章について書かれている。
本書の最大の特徴は文章術の必要性に丁寧に解説されていることである。まずは本書の第1章である「なぜ、あなたは文章術を身につけるべきなのか?」という内容について解説する。
Contents
文章であなたをブランディングできる
セルフ・ブランディングというのは、自分をブランド化することがである。
現代はソーシャルメディアの時代になったことで、誰もが自分のメディアを持つことが可能になった。しかし、誰にでも平等にチャンスがある分、情報発信の競争が激化しているのだ。何かしらキラリと光るものがなければ存在自体を認知してもらえず、SNSなどで情報発信しても、反響が思ったより少ないなんてことは珍しくない。
そこで重要となるのがセルフ・ブランディングだ。周囲の人たちが自分の名前を聞いたときに思い浮かぶイメージを戦略的にコントロールすることで、ビジネスや自分のやりたいことに役立てることができる。
目立ちたくないという人もいると思うが、これからの時代は会社依存から、個人サバイバルに変わっていくと指摘する声もあり、セルフ・ブランディングするための文章術は、生き残りのために必要なスキルなのである。
文章がビジネススキルになる
文章術ほど、即効性があり、応用範囲が広く、時間的にも労力的にもコスパのいいスキルは他にない。
・説得したい (営業力)
・魅力を伝えたい (ストーリーテリング能力)
・励ましたい (コーチング力)
・教えたい (ティーチング力)
などがある。文章力を上げることで、これらのことが圧倒的にしやすくなるのだ。
文章術の他にも、仕事をする上で役に立つスキルや資格は数多くあるのだが、今の変化の激しい時代において、今後必要の無くなるスキルは数多く出てくるだろう。
その点、文章術はどんな仕事でも使うため、価値が廃れることはないのだ。
文章は資産になる
人が使える時間は有限だ。文章は限られた時間を有効活用するための資産となる。
対面営業の得意なセールスがいたとして、どんなに頑張っても1日に回れる件数は7、8件。そこで、同じノウハウをセールスレターで再現して、情報チャンネルで発信すれば、自分が寝ている間にもセールスレターが勝手に仕事をしてくれる。1日に100件、1000件という人間にはできない仕事量をこなしてくれるのだ。
新人の後輩に指導する場合でも、1対1のコミュニケーションで口頭で教えていては、知識の資産化はされない。もしその後輩が転職すれば、教えた時間が全て無駄になる。
同じ時間と労力を費やすのであれば、文章を使ってストックしたほうが間違いなく効率がいいのだ。
[著者]金川顕教
経営コンサルタント、ビジネスプロデューサー、投資家、事業家、作家。 三重県生まれで立命館大学卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格している。
もともと大手会計事務所に勤めていたときに、副業としてウェブマーケティングを始める。当時は文章の素人だったが、そこから人やお金を動かす文章術を習得することで年収が会社員時代から10倍になる。
他にも数多くの本を出していて、その一部を紹介しよう。
- チェンジ~人生のピンチは考え方を変えればチャンスになる!~
- 怒らない人の頭の中
- 年収1億円の神ルール10
第2章からは実際に文章を書くときのテクニックが紹介されている。
第2章 伝わる文章を書く
まずは書いた文章を読んでもらうことがスタートラインだ。相手から読みたいと思ってもらえなければ、どんなにいい内容が書いてあっても意味がないのである。
読み手の興味を引く文章を書くためには、まず「誰のために、何の目的で書いているのか」を明確にしなければならない。
そして、書いている文章が論文などで自分の専門性をアピールするが目的ではない限り、難しい言葉や専門用語は避けて読み手によって読みやすい文章にすることが重要なのだ。
そして文章の内容はメッセージを詰め込みすぎず、1記事1メッセージにしたほうがいい。
多くのメッセージを詰め込みすぎると、読み終わったあとに読者の頭には何も残っていない。最重要メッセージを繰り返し書くことで、伝えたいメッセージを強く読者の印象に残すことができるのだ。
第3章 共感される文章を書く
文章で何かを教えたかったり、行動を促したりしたければ、読み手に共感されることが重要である。しかし、メッセージを熱心に伝えようとすればするほど、説教くさい文章になってしまって、読み手は素直に読んでくれなくなる。
そこでこの章では、読者の共感を得るために次のテクニックが紹介されている。
- 「私は」を「あなたは」に変えて、相手目線の文章を書く。
- 読み手にとって、自分が雲の上の存在にならないよう「目線合わせ」をする。
- ターゲットとなる読者を絞り込み、想定読者のリアルを知る。
- 無駄な反感を買わないために、想定される反対意見を先に書いておく「イエス・バット法」を使う。
どのテクニックでも共通していることは、自分本位になりすぎず読み手に寄り添うということだ。
何を書くかよりも、誰に書くかのほうが重要なのである。
第4章 興味を引く文章を書く
読み手の共感を得たら、次は読み手の感情を揺さぶっていくステップに入る。
エルマー・ホイラーという経営アドバイザーが残した言葉で
「ステーキを売るな、シズルを売れ。」
という名言がある。
これは、人はステーキそのものにお金を払うのではなく、素敵な空間で美味しいステーキを食べながら至福の時間を楽しむという一連の体験に惹かれ、お金を払っているということだ。
文章にも同じことが言える。読み手の五感を文章で刺激して、脳内に映像としてイメージさせる必要があるのだ。
本書では擬態語を使うことが一番簡単な方法だと説明されている。
キラキラ、モフモフ、コトコトなどを入れるだけで大きな効果が得られるのだ。
第5章 行動を喚起する文章を書く
最後は文章で読み手を行動させるためステップだ。
マーケティングの世界では感情的ベネフィットを刺激しないと人はなかなか動かないというのは常識である。
ベネフィットというのは、読み手が行動することで受ける恩恵や利益のことである。ベネフィットの中でも、商品を買うことでどのようなプラスの感情になれるか、どのような自分に変われるかなどの効果をイメージすることを、感情的ベネフィットという。
つまり読み手が「勝手に妄想してワクワクする」状態を目指したいのである。
そのために次のテクニックが紹介されている。
- 人が使う3つの時間(仕事、プライベート、休息)にメリットがあることを伝える。
- 読み手ができていないことを考えて、そこからしたいことを解決する売り文句を書く。
- 人が行動しない理由を知り、言い訳を潰す。
- 根拠をしっかり見せる。
この章は上級編であり、一般の人がSNSで情報発信するレベルでは、ほとんど使うことのないテクニックだろう。
今回は人も動かす超スゴイ!文章術を紹介した。
本書は実践することですぐ効果が出る24のテクニックが紹介されていることも大きな魅力なのだが、
現代人にとって文章術がいかに重要なスキルかということを気づかせてくれることが
最も大きなメリットではないのだろうか。
日常で全く文章を書かない人にも、ぜひ読んでもらいたい1冊だ。