「三行で撃つ<善く、生きる>ための文章塾」 初心者でも読者の心を動せる

メールや社内外の文書を書くときに「もっとうまく書けたら」と思うことはないだろうか。近藤康太郎氏の書かれた「三行で撃つ<善く、生きる>ための文章塾」では周囲からあの人は文章が上手いと思わせるテクニックを25個紹介している。

本書のテクニックを使えば、社内会議での企画書、社外へのリリース文を書くための十分なレベルに達することができる。もちろん、学生のレポートとしてならばかなり高いレベルになるだろう。

本記事では「三行で撃つ」ためのテクニックの一端を紹介したい。

「三行で撃つ<善く、生きる>ための文章塾」はどんな本か

ちょっとうまく文章を書くための本

本書は文章を上手く書くためのテクニックを25個紹介している本だ。本書を読めば「あの人の文章はちょっといい」「あの人の文章は上手い」と周囲に感じてもらえる文章を書くためのテクニックだ。

筆者も「ちょっとうまく書けたら」と思う人に向けて冒頭文を向けている。社内外の文書や大学のレポート、SNSなど、現代では文章を書く機会が多い。だからこそ、文章が書けなくて悩んでいる人は多いと思う。

本書は上手く書けないという悩みを解決してくれる。

著者の紹介

著者の近藤康太郎氏は朝日新聞の記者だ。他にも、評論家や作家として多くのメディアに文章を書いている。30年以上の実績を持っており、フリーライターや新聞記者、カメラマン向けに私塾もやっている。

10人近くのフリーライターも育成しており、中には素人の学生からフリーライターを輩出している。売れっ子ライターもおり、テクニックの実績を語るには十分な実績を持った人物だろう。

現在は、九州の山奥で猟師もしている。そのため、本書の中には猟に例えた表現が多く見られる。近藤氏は文章も猟も<生>に直結すると主張している。文章を書く機会が増えた現代において、猟に例えた主張は心惹かれるものがある。

ぜひ、雰囲気も楽しんで読んでもらいたい。

「三行で撃つ<善く、生きる>ための文章塾」を読むべき人

「三行で撃つ<善く、生きる>ための文章塾」を読むべき人は文章が上手く書けないと思っている人だ。学生ならばレポート、社会人なら社内外の文書と自分の書いた文章を他人に読んでもらう機会は多いと思う。また、SNSでは不特定多数の人に読んでもらう。

そんな中で、うまく相手に伝わっていないなや文章に興味持ってもらえていないなと感じたことはないだろうか。もし、感じているのであればぜひ本書を手に取って貰いたい。人に伝わりやすく、興味を持ってもらうためのテクニックが分かりやすく紹介されている。

本書を読めば、文章とはセンスではないことが分かってもらえるだろう。文章は知識と練習、実践を繰り返すことで上達するものだ。

本書を読めば、ビジネス文書や大学のレポートを書く上で、十分なレベルに達することができることは間違いない。

読者の心を掴むために「三行で撃つ」

書き出しを外さない

文章は最初の一文、長くても三行くらいで心を撃たなければいけない。そうでないと、読者は続きを読んでくれない。

情報があふれた現代において、最初の文で抵抗を感じてしまうともう別のところを読もうとなってしまう。

インターネット検索を想像してもらうとわかりやすいだろう。検索結果で得られた最初のページを開いて読む。しかし、開いたページの文章が意味が分からなかったら、戻るボタンを押して、次の記事を読む。

あなたも日常でやってはいないだろうか。あなたが書く文章も同じだ。例えば、ビジネス文書であっても、最初の数行が分からなければ読む気をなくすだろう。社内であればいいが、顧客向けの文章で興味を持ってもらえなければ、どれだけ良い商品・サービスであろうと購入には至らず、機会損失となる。

文章の書き出しは重要だとわかるだろう。だからこそ、「三行で撃つ」ための文章テクニックが大切だ。

書き出しは文豪でも悩む

歴史に名を残すような文豪の書き出しは悩みぬいて書いたからこそ、誰もが知るフレーズとなって現代に残っている。例えば、夏目漱石の「吾輩は猫である」の書き出しを知らない人は少ないだろう。クイズ番組で書き出しから作品を当てるクイズが出るように書き出しの印象は作品の印象にもなる。

ただ、一点気をつけたいのは小説の書き出しとビジネス文書やSNSで書くような文章は性質が違うものだ。小説は比較的とろく始まっている。なぜなら、小説は読者が最初から「読もう」という気があるからだ。

一方で、ビジネス文書やSNSは自分の仕事が落ち着いたときやスキマ時間で読むような文章だ。つまり、書き出しの一文をとろくしてしまうと獲物に逃げられてしまう。

一発で惹きつける文章を書かなけば効果がない。

読者は文章に興味はない

最初の文章で読者を惹きつけるためには、まず読者は自分の書く文章に興味を持っていないという前提で書かなければいけない。読者は読書を嗜む「プロフェッショナル」に向けたものではない。

スマホでSNSやゲームをしている人に読んでもらうための文章を作らなければいけない。

多くの人は心を鎮めることを嫌がる。そのため、刺激の多いスマホを見る人が多いのです。反対に読書は心を落ち着かせてしまう。文章を読むことは心を沈めてしまうので本を読んでいる人が少ないのだ。

つまり、我々は心を落ち着かせたくない人たちに向けて文章を書く必要がある。そのためには最初の文章で刺激を与えなければいけない。

それこそ、相手をのけぞらせるような文章が必要となる。

最初の三行で振り向かせる

最初の三行で振り向かせるのは興味のない人に文章を読んでもらうためのテクニックだ。読み手が振り向くような文章を用意する。そして、用意した文章が後で効果をなさなければいけない。つまり、最初の文章が伏線となるようにする。

読んで損したと思わせては続かないからだ。一文目で気を引く伏線を書き、後でしっかり改修することでまた読みたいと思わせる。決して読者を置き去りにしてはいけない。一度惹きつけたからにはオチをつけて、確実に仕留めよう。

昨今のネットニュースを見るとのけぞらすだけで伏線を回収しない記事も多い。モヤモヤを残したまま記事を読み終えると気分が悪いものだ。

印象がついてしまえば、惹きつける文章も効果を持たなくなるので注意したい。

三行で撃つための手法

禁じ手を知る

禁じ手は薬にもなれば、毒にもなる。使いどころを間違えないようにしなければいけない。常套句や擬音語、擬態語、流行語などは使う文章によっては悪い印象を与えかねない。そのためには、どんなことが禁じ手になるかを知っておくべきだ。

禁じ手には共感させる技術もある。読者に響く文章を書く上で共感してもらうことは重要な要素となる。響く文章とはだらだらと説明はしないものだ。しかし、使いどころを間違えると何を言っているのかわからなくなる。

惹きつけるためには読者がどう感じるかを考えることが重要だ。

ライターの心得

ライターは誰でもなれるが、本当の意味でライターとなれない人が多い。なぜなら、ライターとしての心得がないからだ。ライターは読者を説得する必要がある。そして、読者は多くの属性を持った人がいる。バックグラウンドが違う、目的が違うなど様々だ。

そのため、万人に通用する文章などない。だからこそ、誰が、誰に書くかという「ぺルソナ」の設定が重要だ。日本国民全員に読んでもらおう、説得しようという文章を書こうとしてはいけない。

常に、どんな人がどんな人に書くか、立場を考えて文章を書かなければいけない。

書くための4つの道具

本書では書くために必要な4つの道具を紹介している。どれも当たり前かもしれないが、文章を書き始めると失う人が多い。ここで改めてチェックしたい。

  • 語彙:文を構成する最小の単位。使う語彙を制限しながら、増やしていく。
  • 文体:個性であるとともに読者によみやすくするためのテクニック。
  • 企画:自分にしか書けない文章にこそ価値がある。
  • ナラティブ:ストーリー性がなければ、文章が散乱する。また、相手にも伝わらない。

まとめ

インターネットの発展とともに文章に触れる機会も、書く機会も増えてきている。インターネットは手軽に情報を手に入れることができる。だからこそ、読んでもらうためには工夫が必要だ。そのためには「三行で撃つ」技術が必要だ。

本書では、他にも自己管理に技術や文章を書く上での心構えを述べている。人は生まれて文章を書かないことはない。誰もがライターである。ライターとは生きることと著者は述べている。だからこそ、書く技術を磨く必要がある。

本書は全てのライターが生きるための方法を教えてくれる。ぜひ、手に取って読んでもらいたい。